【マララ・ユスフザイ】有名スピーチで英語&文化を勉強しよう!

(Photo credit: United Nations Photo on Visual hunt / CC BY-NC-ND)

「マララ・ユスフザイ」

この名前を見て、「どんな人物なのか」をすぐ連想できる人は多くはないと思います。

しかし、彼女の写真を見たらどうでしょう?どんな背景の人物なのか多くは知らないとしても、ニュースやどこかで見たことのある人物ではないでしょうか。

マララさんは、17歳という若さでノーベル平和賞受賞した人権運動家です。もちろん史上最年少。

2012年、14歳のときにタリバンのメンバーに銃撃されましたが、奇跡的に生還を果たしイギリスの病院に入院していました。このときのニュースから彼女を知った方も多いはず。

弱冠11歳から、教育の重要性や女性の権利について声を上げてきたマララさん。今回のスピーチは2013年に国連で行われたものです。ちょうどこの日は16歳の誕生日であり、国連により「マララ・デー」と名付けられました。

16歳の少女が流暢に英語を話すことはもちろんのこと、彼女の信念や意志の強さによるスピーチの迫力に息を呑んだり感動を覚えたりするはずです。

英語のレベルは決して難しくありません。しかし、それでも英語を通して人に感動を与える姿を一緒に見ていきましょう。

この記事を書いた人

牧野隆幸

​牧野 隆幸(まきの たかゆき ) イングリッシュベイ青山 シニアトレーナー

大学・自治体プログラムにTOEIC講師として登壇経験あり。一般企業や国際的な交流協会などでの勤務・従事経験を通して、様々な業界を見てきました。純日本人トレーナーとして少人数制グループをメインとしながら、計400人以上の方々に英語をお教えしてきた私が実践的な英語学習法をご案内いたします。

スピーチを英語勉強に取り入れるメリット

英語でスピーチ


「イングリッシュベイ青山」という私がトレーナーを務める英語スクールでは、有名なスピーチの1フレーズを10分ほどで覚えて、人前で披露するということをレッスンの一つに取り入れています。

英語でのスピーチが英語勉強に有効な理由は、3つあります。

①丁度いい長さに区切れる
②英語の勉強のほかに教養も身に付けられる
③人前で行うスピーチやプレゼンの練習・勉強になる

これらをひとつひとつ確認していきましょう。

①丁度いい長さに区切れる


思わず聞きたくなる良いスピーチには「起承転結」のような話の区切りがあります。

そういう区切りをうまく切り取ることができれば、長文や難しい表現を使うことなく英語の勉強ができます。

②英語をツールとして教養の勉強にもなる


「英語はツール」とよく聞きますが、英語のスピーチを学ぶことは英語を通して文化や時代背景について勉強することにも繋がります。

英語学習の早い段階から「英語を使って何かを得る」という感覚を掴んでおくと、情報収集など実際のお仕事にも活用できるはずです。

③人前でのスピーチやプレゼンに慣れる練習・勉強になる


優れたスピーチは不思議と耳に残りやすいもの。その理由は、内容の分かりやすさのみならず、声の抑揚やスピード、ジェスチャーや目の配り方などが強く意識されているからです。


こうした要素を可能な限り「物まね」していければ、自分の言葉を使った場合でも思わず耳を傾けたくなるような、魅力的なスピーチの話し方を自然に身に着けていけるのです。

英語スクリプト


スピーチを使った英語の勉強は、分かりやすい英文の箇所にフォーカスすることが大切です。今回のスピーチでは、3分30秒ほどの部分を抜き出して勉強します。

マララさんのスピーチには、”Dear…”を繰り返し使う箇所があります。3分30秒とはいえ集中して英語を理解しようとするには少し長いかもしれません。そんなときは”Dear…”から始まる段落のどれか1つを抜き出して、まずはそこを集中的に勉強すると良いでしょう。

スピーチを使って英語の勉強をするときは、

①音読:
英語の文章を見ながら、音声にあわせて発声

②シャドーイング:
英語の文章を見ずに、音声を聞いたあと0.5秒ほど遅れて発声

この2つの勉強法で進めていきましょう。はじめは音読だけを5回繰り返す。そしてその後にシャドーイングを2回ほど。最後に英語の文章を見てどんな英語が話されていたかを確認する。

スピーチの長さにもよりますが、今回のスピーチならこの一連のセットで30分ほどです。このセットを1日3回できれば、1ヶ月もしないうちに優れたスピーチ話者になれるでしょう。

スピーチで英語を勉強する際のコツは、話者になり切って「物まね」することです。

マララさんの経歴はこの記事の下の方に書いてありますので、音読をする前にぜひ彼女の経歴を読み、そしてイメージを膨らませてみてください。スピーチ内でのマララさんの揺るぎない信念を真似てみることで、心に刺さるスピーチに近づくことができるはずです。

“Malala Day”


(https://youtu.be/3rNhZu3ttIU?t=174)

Dear brothers and sisters, do remember one thing.
Malala day is not my day. Today is the day of every woman, every boy and every girl who have raised their voice for their rights.

There are hundreds of Human rights activists and social workers who are not only speaking for human rights, but who are struggling to achieve their goals of education, peace and equality.

Thousands of people have been killed by the terrorists and millions have been injured. I am just one of them.

So here I stand…    one girl among many.

I speak – not for myself, but for all girls and boys.
I raise up my voice – not so that I can shout, but so that those without a voice can be heard.
Those who have fought for their rights:
Their right to live in peace.
Their right to be treated with dignity.
Their right to equality of opportunity.
Their right to be educated.

Dear Friends, on the 9th of October 2012, the Taliban shot me on the left side of my forehead. They shot my friends too.

They thought that the bullets would silence us. But they failed. And then, out of that silence came, thousands of voices.

The terrorists thought that they would change our aims and stop our ambitions but nothing changed in my life except this: Weakness, fear and hopelessness died. Strength, power and courage was born.

I am the same Malala. My ambitions are the same. My hopes are the same. My dreams are the same.

Dear sisters and brothers, I am not against anyone. Neither am I here to speak in terms of personal revenge against the Taliban or any other terrorists group.

I am here to speak up for the right of education of every child.

(動画2分54秒~6分18秒の間、長さ約3分30秒のスクリプト)

日本語スクリプト


親愛なる兄弟姉妹の皆さん、ひとつ覚えていてほしいことがあります。

マララ・デーは私の日ではありません。今日は権利を求めて声を上げたすべての女性、すべての少年少女の日です。

何百人もの人権活動家やソーシャルワーカーが、その権利を言葉で主張するだけでなく、平和、教育、平等という目標を達成するために日々闘っています。

テロリストによって命を奪われた人々は数千人、負傷した人々は数百万人に上ります。私はその1人にすぎません。

ですから私は、多くの人たちのなかの1人としてここに立っています。

私は、自分のために話すのではなく、全ての少女・少年のために話しています。
私は、私が叫ぶことができるからではなく、彼女ら・彼らの声なき意志をくみ取れるから、声を上げているのです。

彼女ら彼らが求めて戦ってきた権利、

それは、

平和に暮らす権利、
尊厳のある取り扱いを受ける権利、
均等な機会を得る権利、
教育を受ける権利、です。

親愛なる皆さん、私は2012年10月9日、左の側頭部をタリバン兵に撃たれました。私の友人も撃たれました。

彼らは銃弾で私たちを黙らせようと考えたのです。しかし、そうはいきませんでした。その時、沈黙の中から数千の声が上がったのです。

テロリストたちは私たちの目的を変えさせ、私の強い意志を止めようとしたのですが、私の人生で変わったことはひとつだけでした。それは、弱さや恐怖、絶望が死に絶え、その代わりに強さと力、勇気が生まれたということです。

私は今までと同じマララです。私の意志も変わっていません。私の希望も、夢もそのままです。

親愛なる兄弟姉妹の皆さん、私は誰も敵だとは思っていません。ましてや、タリバンその他のテロ集団に対する個人的な復讐心もありません。

私はあらゆる子どもの教育を受ける権利を訴えているのです。

マララ・ユスフザイさんについて

Malalaさん

(Photo credit: Southbank Centre London on Visual hunt / CC BY)

弱冠17歳、史上最年少で2014年にノーベル平和賞を受賞した人権運動家。それがマララさんです。

受賞した際に彼女は「この賞は、ただ部屋にしまっておくためのメダルではない。終わりではなく、始まりに過ぎない」と言いました。およそ10代が言える言葉ではありません。

マララさんはどのような人生を歩んできたのでしょうか。

彼女が生まれたのは1997年7月12日。パキスタン北部で育ちました。学校を経営している父親のもと、社会貢献に対する考え方や働き方に影響を受け、当初マララさんは医者を目指していました。

2007年に武装勢力パキスタン・タリバン運動がマララさんの住む地域の行政を掌握すると恐怖政治を開始。特に女性は厳しく扱われ、教育を受ける権利のはく奪のみならず、それに逆らって教育を受けようとしたり、推進しようとしたりすると、命が狙われるような状況でした。

2009年、11歳の時にこの悲惨な状況をBBC放送にブログとして投稿。学校教育の破壊活動を批判、女性が教育を受けることの必要性や平和への訴えを記したことで、英国メディアから注目を集めました。

パキスタン政府は彼女の行動を称え、「勇気ある少女」として本名を公開、表彰しました。ただこのことにより、武装勢力から命を狙われることになります。


2012年10月9日、中学校から帰宅する際に複数の男に襲撃されました。スピーチにもあったように、マララさんは頭部と首に銃弾を受け、一緒にいた2人の女子生徒と共に負傷しました。

わずか15歳の少女に向けられたこの事件に対し、パキスタン国内のみならず、当時の国際連合事務総長・潘基文氏やアメリカ国務長官のヒラリー・クリントン氏など、世界各国からも非難の声が上がりました。

マララさんの頭部周辺を襲った銃弾は外科手術により摘出されました。頭部に感染症の兆候があったものの、奇跡的に回復。2013年1月3日に退院し、家族とともにイギリス国内でリハビリをしながら通院を続け、再手術を経て復活を遂げました。

そして、2013年7月12日。今回のスピーチの舞台である国際連合本部で演説し、教育の重要性を訴えました。そして、国連はマララさんの誕生日である7月12日をマララ・デーと名付けました。

2014年にノーベル平和賞を最年少受賞。2017年には、国連平和大使に任命。さらに2019年3月、彼女が21歳のとき初来日しました。安倍首相との会談やホテルニューオータニでの講演を通し、女性教育への重要性を訴えかけました。

若くして人権運動家として活動し、さらにはその活動により生死をさまよったマララさん。銃弾を受けても引くことはなく、むしろ自分は正しいことをしているのだと再認識する心の強さが、スピーチの動画から感じられるのではないでしょうか。そして私たちの心が奮い立つのも、きっと感じられるはずです。

まとめ

英会話、マイク


スピーチの練習は英語の勉強になるのはもちろんのこと、人前で自分の意見を述べる訓練にもなります。残念ではありますが「意見がない」とよく見られてしまう日本人にとっては、有効的な勉強法かもしれません。

それでは振り返りです。

  • ・スピーチを英語勉強に取り入れるメリット
  • ・”Malala Day” 英語スクリプト
  • ・”Malala Day” 日本語スクリプト
  • ・マララ・ユスフザイさんについて

テロに対する脅威について、私たちの身の回りで実感することはほとんどないでしょう。しかし、このグローバル社会において知っておくべき情報であることには違いありません。

こうした世界の知識を身に着けることができるのも、英語を勉強するメリットと言えるはずです。

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