【キング牧師】有名スピーチで英語&文化を勉強しよう!

リラックスして英語の読書

“I Have a Dream”のスピーチで有名なマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King Jr.)氏。彼はアメリカの差別問題の改善に大きく貢献した人物です。日本では「キング牧師」の呼び名で親しまれていますね。

このスピーチが行われたのは1963年8月28日。当時のアメリカは交通機関やトイレ、学校等の公共機関だけではなく、ホテルやレストラン、バーなどにおいて、「白人」と「黒人と全ての有色人種」が分離されていました。

この不平等な社会に対する想いが、キング牧師のスピーチには込められているのですが、日本人の多くは、“I Have a Dream”以降に何を言っていたか、あるいはキング牧師がどんな人物なのか、なかなか知る機会がないのではないでしょうか。

今回は、人種差別の風潮が残ると言われるアメリカ南部のアラバマ州に4年間滞在し、英語スクールで文化についても教える英語トレーナーの私が、キング牧師のスピーチを軸に、英語の勉強への活用法とキング牧師の生い立ちを含めた当時のアメリカ社会の模様についてお伝えしていきます。

この記事を書いた人

牧野隆幸

​牧野 隆幸(まきの たかゆき ) イングリッシュベイ青山 シニアトレーナー

大学・自治体プログラムにTOEIC講師として登壇経験あり。一般企業や国際的な交流協会などでの勤務・従事経験を通して、様々な業界を見てきました。純日本人トレーナーとして少人数制グループをメインとしながら、計400人以上の方々に英語をお教えしてきた私が実践的な英語学習法をご案内いたします。

スピーチを英語勉強に取り入れるメリット

英語でスピーチする人


キング牧師のスピーチをご覧いただく前に、まずは英語スピーチを勉強に取り入れるメリットをお伝えいたします。

私がトレーナーを務める英語スクール「イングリッシュベイ青山」でも、ロールプレイと称して有名スピーチを披露するレッスンを行っています。

英語の勉強にスピーチが有効な理由は3つ。

①丁度いい長さに区切れる
②英語の勉強のほかに教養も身に付けられる
③人前で行うスピーチやプレゼンの練習・勉強になる

この3つのポイントを、それぞれ細かくお伝えしていきましょう。

①丁度いい長さに区切れる


“I Have a Dream”“Yes, We Can”などの「決めフレーズ」から分かるように、良いスピーチには盛り上がりを見せるパートが設けられることがあります。

一般的にそういったパートでは、長文は使われず、印象に残りやすく誰にでも理解できるようなフレーズが使われているため、英語の勉強には最適なのです。

②英語の勉強のほかに教養も身に付けられる


スピーチをただ覚えるだけではなく、その話者や時代背景について勉強することで、スピーチで使われている英語への理解度がさらに上がります。

「英語を勉強したい」という方の多くは外国人のやり取りを見据えていらっしゃることが多いはずですので、その際に使えるような異文化についての教養を携えているということは、とても大きな武器になります。

③人前で行うスピーチやプレゼンの練習・勉強になる


当たり前ですが、スピーチやプレゼンは誰かに聞いてもらうもの。そのため有名な英語スピーチの多くは、内容の分かりやすさのみならず、声の抑揚やスピード、ジェスチャーや目の配り方などが強く意識されています。

こうした優れたスピーチを物まねすることで、優れた話者に必要な要素を自然に身に着けていけるのです。

“I Have a Dream” 英語スクリプト

キング牧師


今回は有名な場面を使って英語の勉強をしていきましょう。長さにして2分30秒ほどです。

“I Have a Dream”というフレーズは、スピーチ内で何度か使われています。英語の勉強としては、下記の“I Have a Dream”から始まる段落のどれか1つに集中して勉強すると良いでしょう。

まずは英語の文章を見て良いので、スピーチを繰り返し聞きながら意味を想像します。その後に日本語の文章を見ながら内容の確認をしましょう。

そしてそれが終わったらシャドーイングです。音声を聞きながら、実際の音声から0.5秒ほど遅れてご自分でも発声していきましょう。このときのコツは、話者になり切って「物まね」することです。

“I Have a Dream”


(https://youtu.be/vP4iY1TtS3s?t=113)

I have a dream that one day this nation will rise up and live out the true meaning of its creed: “We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal.”

I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.

I have a dream that one day even the state of Mississippi, a state sweltering with the heat of injustice, sweltering with the heat of oppression, will be transformed into an oasis of freedom and justice.

I have a dream that my four little children will one day live in a nation where they will not be judged by the color of their skin but by the content of their character.

I have a dream today!

I have a dream that one day, down in Alabama, with its vicious racists, with its governor having his lips dripping with the words of “interposition” and “nullification” — one day right there in Alabama little black boys and black girls will be able to join hands with little white boys and white girls as sisters and brothers.

I have a dream today!

I have a dream that one day every valley shall be exalted, and every hill and mountain shall be made low, the rough places will be made plain, and the crooked places will be made straight, and the glory of the Lord shall be revealed and all flesh shall see it together.

This is our hope, and this is the faith that I go back to the South with.

(動画の1分53秒~4分23秒間のスクリプト)

“I Have a Dream” 日本語スクリプト

キング牧師


絶望の谷間でもがくことをやめよう。友よ、今日私は皆さんに言っておきたい。われわれは今日も明日も困難に直面するが、それでも私には夢がある。それは、アメリカの夢に深く根ざした夢である。

私には夢がある。それは、いつの日か、この国が立ち上がり、「すべての人間は平等に作られているということは、自明の真実であると考える」というこの国の信条を、真の意味で実現させるという夢である。

私には夢がある。それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である。

私には夢がある。それは、いつの日か、不正と抑圧の炎熱で焼けつかんばかりのミシシッピ州でさえ、自由と正義のオアシスに変身するという夢である。

私には夢がある。それは、いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である。

今日、私には夢がある。

私には夢がある。それは、邪悪な人種差別主義者たちのいる、州権優位や連邦法実施拒否を主張する州知事のいるアラバマ州でさえも、いつの日か、そのアラバマでさえ、黒人の少年少女が白人の少年少女と兄弟姉妹として手をつなげるようになるという夢である。

今日、私には夢がある。

私には夢がある。それは、いつの日か、あらゆる谷が高められ、あらゆる丘と山は低められ、でこぼこした所は平らにならされ、曲がった道がまっすぐにされ、そして神の栄光が啓示され、生きとし生けるものがその栄光を共に見ることになるという夢である。

これがわれわれの希望である。この信念を抱いて、私は南部へ戻って行く。

キング牧師について

キング牧師


1929年1月15日、アメリカ南部のジョージア州アトランタにて、何代も続く聖職者の家にキング牧師は生まれました。ボストン大学大学院神学部で博士号を修了した後、南部に戻り、アラバマ州モンゴメリーで牧師を務めました。

1955年12月にアラバマで起きたある事件をきっかけにキング牧師は指導者に選ばれます。当時アメリカのバスには白人優先席というものがありました。黒人だからという理由で白人男性に席を譲ることを拒否した一人の黒人女性が逮捕、拘留されました。これをきっかけに始まった「バス乗車ボイコット運動」の組織指導者として選ばれたのが当時26歳だったキング牧師でした。

デモ参加者のなかから多数の逮捕者と拘留者を出しながらもこの運動は約1年続き、ついに連邦最高裁判所から「人種分離法は違反である」という判決が下されたのでした。

このデモ運動の成功により、キング牧師は有力なリーダーとして存在感を示していきます。そして1963年、「ワシントン大行進」という運動がワシントンDCで行われ、黒人はもちろん白人も集まる20万人規模の大集会となりました。

“I Have a Dream”スピーチは、このワシントン大行進の最中に行われました。

1964年にはアメリカの人種偏見を終わらせるための非暴力抵抗運動が評価され、ノーベル平和賞も受賞しました。残念ながらキング牧師は1968年に暗殺されてしまいましたが、彼の死後も彼の精神は受け継がれ、アメリカにおける差別問題は大きく改善されることになります。

アメリカでは、キング牧師の誕生日(1月15日)に近い1月の第3月曜日は「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デー」という祝日です。そして、この日はキング氏の功績を記念し、全国民が地域でのボランティア活動に従事することが求められています。
キング牧師は39年という短い生涯すべてを、他人への奉仕に捧げました。

Make it a day on, not a day off(奉仕の日にしよう、休日ではなく)」
これが、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デーのスローガンなのです。

まとめ

英会話スピーチに拍手


人種のるつぼと言われるアメリカでも、ほんの50年ほど前までは白人以外の人種にとっては苦汁の日々が続いていました。

キング牧師のDreamが現在果たして実現しているかどうか、彼のスピーチを使って英語を勉強しているときに想いを巡らせてみてください。

それでは振り返りです。

  • スピーチを英語勉強に取り入れるメリット
  • “I Have a Dream” 英語スクリプト
  • “I Have a Dream” 日本語スクリプト
  • キング牧師について


有名スピーチは、言いたい事を英語でも相手に効果的に伝えられる勉強になるだけでなく、文化や歴史を知る教養の基盤にもなります。

キング牧師になりきって力強いスピーチを手に入れてみてください。そして最終的には、ご自分の夢を語れるようになったら素晴らしいですね。

Do you have a dream?

「英語が話せない」には
必ず明確な理由が存在する

日本人特有の
英語力の頭打ちを徹底解決する
LINE英語学習マガジン

多くの日本人が直面している「英語が話せない」という悩みの根本的な原因。 それは「話すこと」の大切さを無視してきた日本の英語教育、つまり受験英語にあります。 誰もが学生時代に苦労したであろう、単語の暗記・綺麗な和訳・難解な文法。 このどれもが「話すための英語学習」には何の役にも立ちません。 その証拠として、受験英語型の学習法でペラペラになった人は残念ながら存在していないのです。 この事実に薄々気づきながらも、学生時代の英語学習法から抜け出せない。 あなたもきっとその1人なのではないでしょうか? 私たちに必要なことは、受験英語型の学習法からいち早く抜け出して「正しい英語学習法」を身に付けること。 これを知っているのといないのとでは、英語の勉強効率に雲泥の差が生まれます。 イングリッシュベイ青山が発行する公式LINEマガジンでは、正しい「英語学習法」とその具体的な「実践手段」について全無料で解説しています。 勉強しているのに一向に英語が話せるようにならない。 学習に時間とお金を費やしているのに英語が身に付いていない。 そんな悩みを持ちながらも、 「それでもやっぱり使える英語を身に付けたい」 「短期間で実践的な英語をマスターしたい」 「1年後に英語がペラペラの状態になっていたい」 などといった想いを抱いているあなたに役立つ内容です。

ぜひ、イングリッシュベイ青山の
公式LINEマガジンをご登録ください。

CONTACT US

PAGE TOP
Official magazine