前回の「英語を身に付けたらどんな未来が待っているのか」という記事では、英語力を身に付けることのメリットとして「人材としての価値」あるいは「人生の価値」が向上する、ということについてお伝えしました。
ただし、だからといって「そうか、英語力アップ=収入アップなのか!よーし、英語を話せるように頑張るぞ!」と何も考えずに意気込んでいるのだとしたら、赤に変わる直前の信号を渡っているのと同じくらい危険です。
つまり、悲惨なアクシデントが起こる直前の状態です。
もしそのまま学習を始めたら、数カ月後か1年後か、近い将来に「なんで?あのころ思い描いていた理想と全然違う…」と後悔するタイミングが必ずやってきます。
これから英語に費やすためのお金や時間、そして努力を無駄にしたくないのであれば、勢いだけで決断しようとしてはいけません。
一度立ち止まり今回のお話を読み進めて、ある事実をしっかり理解する必要があります。
それは、「英語力が高い人」が必ずしも「人材として価値が高い」という評価を受けられるわけではない、ということです。
この事実をひも解いていくために、今回のテーマ「あなたが英語を身に付けたいと思う理由はなんですか?」についてお伝えしていきます。
日本でレアな人材となる
まずは私たちが置かれている状況を整理してみましょう。
私たち日本人と他国の人たちの英語力を比べた場合、どれほどレベルに差があるのか知っていますか?
全世界で国際教育事業を提供しているスウェーデン大手企業「イー・エフ・エデュケーション・ファースト」が発表した、2020年版「EF EPI 英語能力指数」を見ると一目瞭然です。
これは世界100カ国・地域で220万人を対象に英語能力テストを実施した結果を、国別に表したランキングです。(英語を母国語とする国は除く)
日本のランキングは、なんと100カ国中55位。
各国・地域の英語能力レベルは「非常に高い」から「非常に低い」までの5段階に分類されているのですが、私たち日本人の英語力は下から2番目にあたる「低い」という結果です。
ちなみに先進国の中ではダントツの最下位であり、ランキングのすぐ上と下を見ると「チュニジア(54位)」「エルサルバドル(56位)」に挟まれています。
(引用:イー・エフ・エデュケーション・ファースト)
この結果って結構ショックじゃありませんか?
私たちは中学1年生から少なくとも6年間という膨大な時間を英語に割いてきたのにもかかわらず、世界と比べた場合には発展途上国と同レベルにあるというのが事実なんです。
20,30年ほど前から「これからは英語の時代だぁ!」と言われてきたのに、いまだに英語を使える日本人はレア人材扱いのまま。
いつまで経っても日本人による「英語への苦手意識」は変わることがないので、英語学習は避けつつ英語以外のスキルを駆使して収入を上げようとしている人が多いことにも納得です。
ただこんな状況だからこそ、日本の教育市場において「英語を身に付けると強力な武器になる」というイメージが刷り込まれているわけです。
電車の中で英会話スクールの広告をよく見るのは、こういう背景があって私たちの焦燥感を煽っているんですね。
しかし広告の印象操作に流されるのではなく、ここからはあなた自身でよく考えてみてください。
強力な武器になるとはいえ、英語は単なるツールに過ぎないのです。
道具を持っているだけで使い方を知らない人に価値はありません。
それと同じように、英語が話せるようになっても使い方を知らなければただの人。
何となくセブ島に短期留学に行ったり、何となくオーストラリアへワーホリに行ったりするみたいに、目的やビジョンもなくただ英語力を身に付けただけの人の市場価値は決して高いとは言えないのが事実なんです。
英語を身に付けて何がしたいかを教えてください
厳しい言い方をしましたが、短期留学やワーホリの全てを否定しているわけではありません。
危険なのは「何となく英語を学ぶ」というフワッとした姿勢です。
もちろんこれは留学せずに、日本国内で英会話スクールに通って英語を学ぶ場合にも当てはまります。
ではここで大切な質問です。
あなたは英語を身に付けて何を実現したいのでしょうか?
この問いに即答できない場合、きっと英語を学んでも途中で挫折します。
なぜなら、英語を学んだ先にあるゴールを思い描けておらず、目的を明確化できていない状態だからです。
マラソン大会でゴール地点を知らないまま「よーいドン」で走り出してしまった人がその後どうなってしまうか、簡単に想像がつきますよね。
でも「何を実現したいか」の問いに即答できないからといって、悲観的になる必要はありません。
あなたにとってワクワクを感じられるゴール地点を今から考えればいいんです。
何度も言いますが「英語はツール」です。
あなたの職業・スキル・強みなどと英語を掛け合わせることで初めて、人生の選択肢が一気に広がります。
例えば私たちイングリッシュベイ青山の卒業生の中には、
・社内公募によるシリコンバレー駐在を果たし、最先端のIT技術を吸収したエンジニア
・国際金融の中心地ニューヨーク出向への道を切り開いた証券ウーマン
・持ち前の企画スキルを駆使して大手外資スポーツメーカーに転職したマーケター
・国内でベンチャービジネスを起業してイギリス法人の設立まで駆け上がった経営者
というように「職業・スキル・強み × 英語」を実現させることで、人生の新しい選択肢を勝ち取った受講生が何人もいます。
これだけ見るとみなさん輝かしい経歴をお持ちのように見えますが、決して初めから英語を話せたわけではありません。
この中にはレッスン開始時の英語力が中学1年生レベルだった方もいらっしゃいます。
それでもご自分の目的を達成するために、ただひたすらに努力を積み重ねて「使える英語力」を身に付けたのです。
英語に対しての本気度=人生に対しての本気度
できるなら自分だって英語力を身に付けて、人に誇れるようなキャリアを実現させたい。誰もがそう思いますよね。
そのためには「英語が話せる〇〇になりたい」という〇〇の部分を、まずあなた自身に問いかけてみることです。
前章で挙げた卒業生のみなさんを参考にして、ご自分の職業・スキル・強みなどを〇〇に当てはめることができるでしょうか。
あなたにとってしっくり来るビジョンが見つかれば、それがゴール地点を明確にする第一歩。
そのあと英語学習を続けられるかどうかは本気度次第です。
「本気度なんて精神論じゃ何の解決もならない!」という人のために、英語学習が続かない原因を具体的に考えてみましょう。
多くの日本人が英語学習を継続できない大きな原因は、心の奥底では英語を学んでもメリットがないと思っているか、現状に対して危機感を感じていないか、このどちらかです。
ただそれも仕方ないと思います。なぜなら私たちが住む日本は、まだまだ素晴らしい国だと言えるからです。
時間や場所を問わず治安が良い。電車は時間どおりに運行される。背伸びさえしなければ欲しいものはだいたい手に入る。
これほど恵まれた環境にいるのにわざわざ「異国の言語を学んで、まったく違う価値観の中で新しい挑戦をしてみよう」なんて考える人は今でもレアです。
でも、私たちの意識とは関係なく世界はどんどん変わってきています。
海外の国々が日本を侵食するように進出しており、企業・人材・土地など日本の資源は外資によって買い上げられています。
このことによって今後の日本の未来が明るいものになるか暗いものになるか、今の段階では分かりません。
しかし海外の風が流れ込むことで、年功序列や終身雇用などのキャリアの長さだけが重宝された日本特有の慣習は確実に崩壊し、外資系企業にありがちな絶対的な能力主義となる社会が迫ってきています。
このままでは「デキる人とデキない人」の格差、もっと言えば「やると決めた人とやらないことを選んだ人」の格差はどんどん拡がっていく一方です。
この事実に早くから気付いている人たちこそが、自分が戦えるフィールドを日本から世界へと拡げられるよう必死になって英語を学んでいるわけです。
ということはつまり、今この瞬間に英語に対して本気になれるかどうかは、今後のあなたの人生に対して本気になれるかどうかとイコールなんです。
いつ来るかも分からない危機的状況のことは考えずに今だけを楽しむか、将来を見据えて今から自分の市場価値を上げられるツールを磨きながら準備を進めておくか。
ここまで読んでいただいたあなたなら、どちらが賢い選択か分かるはずです。