英語にはキレイな発音が必要です。
英語を勉強していると、こんなフレーズをよく目にします。本屋に行けば英語コーナーには発音用テキストがたくさん見つかりますし、英会話スクールだって発音矯正をウリにしているところがあるほどです。
確かに英語の発音はキレイであることが理想的ですが、「英語は発音がキレイじゃないと通じないぞ!」みたいな強迫観念的な考えは個人的に好きではありません。
だって「キレイな発音」で日本語を話そうと思ったことがありますか?
他のアジア人の英語発音がすごくキレイだと思いますか?
英語が通じるかどうかなんて、最低限の発音知識を持ち合わせていれば何とかなります。それよりも、英語の「発声」にはもっと注目すべき3つの強化ポイントが存在します。
この3つのポイントをしっかりと使いこなせれば、ネイティブでない英語でも十分に通用する英語力を身に着けられます。
では早速そのポイントを見ていきましょう!
この記事を書いた人
牧野 隆幸 イングリッシュベイ青山 シニアトレーナー
大学・自治体プログラムにTOEIC講師として登壇経験あり。一般企業や国際的な交流協会などでの勤務・従事経験を通して、様々な業界を見てきました。純日本人トレーナーとして少人数制グループをメインとしながら、計400人以上の方々に英語をお教えしてきた私が実践的な英語学習法をご案内いたします。
目次
英語に超必須!間違えられない「単語のアクセント」
単語のアクセントとは?
英語の授業で「ここでアクセント!」と言われた記憶がある方も多いでしょう。あるいは英検の問題でも出されていますね。
辞書や単語テキストを見ると、発音記号と一緒にちょんまげのような印があるのを見たことあるはずです。
例えば、todayという単語にはこう書いてあります。
today [tʊdéɪ]
この場合なら、「トゥ・デェ・イ」という音のうち「デェ」にアクセントがつけられている、というわけです。
ではここで、初心に帰って「アクセントをつける」ためには具体的にどうやって発声すればいいでしょうか?
とりあえず何か強く発音してみる?でも「強く」って怒ってるわけでもないし…?
答えは…
アクセントをつける
=他の音よりちょっとだけ音を長く・ちょっとだけ音量を大きく・ちょっとだけ音程を高く発声する
ということです。
さきほどの「トゥ・デェ・イ(today)」であれば、“トゥ・デェ・イ”と発声します。
お気づきかもしれませんが、わざと「トゥ」と「イ」を小さく表記しているのは、「トゥ」と「イ」はアクセントがないからです。アクセントがない、ということはアクセントをつける方法とは逆の発声をするわけです。
つまり、アクセントがない=「音を短く・音量を小さく・音程を低く」ということに気を付けましょう。
それでは、アクセントをつける部分とアクセントがない部分を意識しながらもう一度、今度は皆さんも発声してみましょう。
“トゥ・デェ・イ”
どうでしょう?ちょっとした意識を変えるだけでアクセントが上手くなったはずです。
キレイな発音よりもアクセントをマスターしよう
このアクセントは、英単語の中に必ずあるものです。
逆に言えば、アクセントがないと英語として通用しないこともあります。気を付けてくださいね。
アメリカ人が日本語を話すときには“ワタァシノ、ナマァエハ…”と言っているイメージありませんか?
これは英語とアクセントが切っても切り離せない関係のため、日本語を話すときでもアクセントをつけてしまうのです。
でも日本語でアクセントを意識する場面はあまりありません。日本語というのは平坦な発声をすることがほとんどですからね。
日本人が英語を苦手とする大きな原因の一つとして、日本人にはアクセントのある・なしの切り替えが難しいということが挙げられるのです。
アクセントの場所で意味が変わる?
英単語には必ずアクセントがあるとお伝えしましたが、そのアクセントの位置が何より重要です。
日本語にも「は↑し↓(箸)」「は↓し↑(橋)」とアクセントの位置によって意味が変わってしまう単語があります。
英語はアクセントが必ず発生する分、日本語よりも意味の違いが顕著になります。キレイな発音だとしてもアクセントの位置が間違っていると全く伝わらないことさえあります。
例えば”fifteen”と”fifty”という単語。どちらも数字を表しますが、アクセントの位置が違うと誤った数字として伝わってしまいます。
15を表すfifteenは、“フィ・フ・ティー・ン”
そして50を表すfiftyは、“フィ・フ・ティ”
単語の最後が”teen”か”ty”だから、「ン」が付くか付かないかで使い分ければいいんでしょ?と考えているあなた。ご覧のとおり末尾の「ン」にアクセントはないため、「ン」のあるなしでは差別化しづらいのです。
重要なのはアクセントの位置です。
英会話をしていて「年齢を聞かれたから答えたのに、なんか周りからの目線がちょっと痛いな…」と感じることがあったら、本当は50歳なのに「15」の音に似ている“フィ・フ・ティー・”というアクセントで答えてしまったのかもしれません。
50は“フィ・フ・ティ”ですよ。忘れないように!
さらに”desert”と”dessert”も似ているスペルですがアクセントの位置で意味が全く違ってしまいます。
砂漠を表すdesertは、“デ・ザー・ト”
甘いものなどのデザートを表すdessertは、“デ・ザー・ト”
という具合になります。
食後に”I like デ・ザー・ト“なんて言ってしまうと、「このタイミングでそんなこと言うなんて…この人は探検家か何か?」と思われてしまうかもしれません。
もちろん極端な話ですけどね。
会話の中で誤解を生みかねないくらいアクセントの位置は重要な要素です。これからは発音記号についているちょんまげ印に注意しながら発音の練習をしてみてください。
言葉の上げ下げ「イントネーション」を使いこなす
イントネーションとは?
イントネーションはアクセントと混同されやすいもの。
しかしアクセントは1単語における抑揚であり、必ず正しいアクセントの位置が決まっています。
一方、イントネーションは1文章の中における抑揚であり、正しいイントネーションの位置というのは存在しません。ある程度は話者の自由に変えられるのです。
ただし例外としては、疑問文の語尾。
“Yes”や”No”で答えてもらいたい疑問文の語尾ではイントネーションを上げます。
“Do you speak English(⤴)?“という感じです。
そして逆に”Yes”や”No”が答えではない疑問文、いわゆる5W1H(What, Who, When, Where, Why, How)を使う場合の疑問文では、語尾のイントネーションは下がります。
例えば“Who speaks English(⤵)?”というときです。
疑問文の語尾ではしっかりとしたルールがありますが、それ以外はフリースタイル。話者の伝えたい内容によってイントネーションを使い分けることになります。
イントネーションを変えるとニュアンスが変わる
自由に変えていいと言われると逆に困ってしまうものですが、イントネーションを変えるときのポイントは「強調したい単語」を強く言うことです。
たとえば、
“I bought a new car.“
“I bought a new car.“
「私は新しい車を買った」という意味はどちらも同じです。ただ、イントネーションを変えることでニュアンスの違いが生まれます。
上の文章は「(ボロ車でも中古車でもなく)新しい車を買ったんだよ!」というニュアンス。
下の文章は「新しい車を(レンタルでもリースでもなく)買ったんだよ!」というニュアンスがあります。
話者の気持ちや会話の背景で変わり得るのがイントネーションです。
日本人はイントネーションが苦手?
英語では、”It’s important to master English intonation if you want to sound natural and keep listeners focused.”と言われています。
「自然な音として聞こえるよう、そして聞き手を集中させることができるよう、英語のイントネーションを学ぶことは大切です」という意味です。
日本語では会話の中でイントネーションを意識することはあまりありません。日本語は抑揚がなく平坦な調子であることが普通とされているからです。
逆に英語では文章中に必ず一つ強調する単語があります。
初めのうちは難しいかもしれませんが、「自分は何を伝えたいのか」を明確にしておき、その上で英語を話すときにはその伝えたい単語を強調しながら英会話できると良いでしょう。
ネイティブ英語の音は「速い」わけではなく「短い」
英語が短くなる原因「リンキング」と「リダクション」とは?
「ネイティブの英語は速すぎて聞き取れない!」「ネイティブのマネして話すなんてもっと無理!」と感じている人は多いでしょう。
でも実は、そう感じてしまう原因は英語の音の「速さ」より「短さ」にあります。
“Let it go~♪”という歌が前に流行りましたが、「レットイットゴー♪」とは歌いませんよね?
皆さん「レリゴー♪」と歌う方が自然だということは知っているはず。
そして、ほら。「レットイットゴー」と「レリゴー」を比べたら英語の音がとても短くなっていることが分かりますか?
これがネイティブ英語が難しいと感じる本当の理由であり、この「音が短くなる現象」を引き起こしている2つの現象を「リンキング」と「リダクション」と呼びます。
リンキングとは音と音がLinkする(繋がる)法則で、繋がることによって音が変化することを言います。英語学習においてリンキングは比較的有名な法則であり、しかも音の変わり方が顕著で分かりやすいため、ご存知の方も多いでしょう。
一方、リダクションは聞き慣れない方もいるかと思います。直訳すると削減、縮小という意味ですが、英語の発音法としてのリダクションは「音が消失」あるいは「音の脱落」を指します。
たとえば“good”を発音するときには「グッド」ではなく「グッ」というように、最後のdの音が消失しているように発音します。
この2つの法則により英語の音が繋がったり消失したりすることで、「レリゴー♪」のように英語の音が短くなる現象が発生するのです。
生きた英語は速いのではなく短い。これを認識しているかどうかが、伝わる英語を発声できるかのポイントとなります。
英語は隙あらば短くなる
突然ですが、“What do you do?”という英語をネイティブは何て発音すると思いますか?
下のリンクは私が以前書いた記事ですが、リンク先に「ネイティブなら“What do you do?”を何と言うか」というyoutube動画があります。
ぜひ「自分なら何と発音するかな?」と思い浮かべながら見てみてください。
“What do you do?”なんて中学校で習うような普通の英語なのに「こんなに変わっちゃうの!?」と思うはずです。
たったの3つ!ネイティブの英語が聞き取れない原因とは?
ちなみにこの記事では、動画があるところの下の方でリンキング・リダクションの詳細も書いています。あわせて参考にしてみてください。
リスニング対策として重要
ここまで詳しく英語の音の「短さ」についてお伝えしてきましたが、リンキングとリダクションをマスターするかどうかの優先度としては、英語を話す上では後回しでも問題ありません。
スピーキングでいえば、冒頭で書いたアクセントやイントネーションを優先させる方がスムーズな英会話をマスターする近道です。
ただしリスニング対策として英語の音の短さに慣れておくことは大切。自分が英語を話せたとしても、聞き取れなければ意味がないですからね。
英語の音の短さを聞き取れるようにしておけば、英会話の場面だけでなくTOEICや英検などの英語試験の場でも必ず役立ちます。
さて、実際にどうやって慣れればいいかというと、ディクテーションという勉強法を活用することをおすすめします。
ディクテーションとは、簡単にいえば「英語を聞き取って、聞き取った内容を書き取っていく」というリスニング強化法です。聞き取るための英語の文章は、何度かリピートさせてOKです。
ディクテーションの良いところは、自分が「聞き取れない音」or「聞き間違えている音」を書き取りによって可視化できるという点です。
ディクテーションの詳細はこちらの記事で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
英語のリスニング強化はこれでOK!高負荷&効果抜群の勉強法!
記事のまとめ
今回は「キレイな発音はなくてもOK!」というテーマで、英語の音に関して意識すると効果的な3つのポイントについてお伝えしてきました。
それでは記事を振り返ります。
- 英語に超必須!間違えられない「単語のアクセント」
- 単語のアクセントは最重要。アクセント間違いによって変な誤解を生まないように!
- 言葉の上げ下げ「イントネーション」を使いこなす
- 日本人は苦手かも。でも意識して話せば決して難しくない!
- ネイティブ英語の音は「速い」わけではなく「短い」
- ネイティブの英語が全然聞き取れない理由と対策はコレだった!
英語を話すにあたって、キレイな発音があれば確かに理想的。
ただ、それよりも重要なのは英語のコミュニケーションとして「ちゃんと相手に伝わるかどうか」ということです。
日本語にはない英語の音の特性をしっかりと理解して、相手に伝わる英会話を優先的に習得していきましょう!
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