英語はネイティブレベルまで求めない。これが上達の近道。

手を振ってお別れ

ビジネスにプライベートに英語を話す機会が増えてきていませんか。何不自由なく英語で会話ができたらどんなに素晴らしいことでしょう。それもネイティブレベルで。

そう日本人の多くが理想とするネイティブレベルの英語力。本屋にもネットにもキーワードが溢れています。

「ネイティブがよく使う英会話フレーズ〇〇選」
「要注意!その英語、ネイティブにはこう聞こえます」etc…

しかし我々日本人にとって、英語を上達するにあたりネイティブレベルを目指す必要はありません。むしろ目指すことが逆効果のことも。

本記事では、米国留学でネイティブ英語に学び、その実践と経験を生かして「日本人に使える英会話力を身につける」ことを使命としている私が「ネイティブを目指す。それって実際どうなの?」を中心にお伝えいたします。

とにかく英語はネイティブレベルをというイメージを抱いている方は、ぜひ本記事を読んでイメージの転換をしてもらいたいと思います。

この記事を書いた人
牧野隆幸
​牧野 隆幸(まきの たかゆき ) シニアトレーナー

大学・自治体プログラム TOEIC講師として登壇。純日本人の英語トレーナーとして、一般企業や国際的な交流協会に勤務・従事しています。少人数制グループをメインとしながら計400人以上の方々に英語をお教えしてきた私が、実践的な英語学習法をご案内いたします。

なんとなく英語はネイティブレベルが良いと思っていませんか?

Noネイティブ英会話

ネイティブレベルの英語。発音やリスニング、気の利いた言い回しも、ネイティブレベルまで高められるならもちろん理想的ですね。

でも使える英語を身につけるために、ネイティブレベルを目指す必要は全くありません。

特にネイティブが使う英語表現(特にスラングなど)にこだわる必要は全くありません。使える英語を身につけ、自由に英会話でコミュニケーションができることが、多くの方にとっての目標ではないでしょうか。

また、英語表現の間違いによるネイティブの誤解を恐れる必要もありません。細かいニュアンスを追求するより、基本的なコミュニケーションができることを最優先しましょう。

ただ一つだけネイティブレベルを意識して欲しいものがあります。それは「発音」です。

詳しくは次の章に記載しますが「発音」はネイティブに近づけるように意識しましょう。

そもそも英語ネイティブとは(英語を公用語としている国や人口など)

日本語ネイティブである日本人と比較するとわかりやすいですが、英語ネイティブとは、母国語が英語であること、すなわち生まれて育つ環境で自然に身につける言語(第一言語)が英語であることです。

英語ネイティブの特徴として、英会話のスピードが速く(ナチュラルスピード)、発音も自然であること。また英会話の表現が豊富なことが挙げられます。

国であげると、アメリカ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどが英語ネイティブ国であり、世界中で英語を母国語とする人口は約4億人との統計です。
(なお第二言語を含め英語を話すことができる人口は世界で約20億人といわれます)

お気づきかもしれませんが、実は英語ネイティブは比較するとマイノリティの部類に入るのです。世界の全人口(約75億人)からすると英語ネイティブは5.3%となります。

また英語が話せる人口に占める割合でみても、英語ネイティブは20%。実に5人に1人しかネイティブといえず、言い換えると80%は非ネイティブとの英語コミュニケーションとなります。

(参考:文部科学省 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/015/siryo/attach/1379917.htm)
(参考:wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_English-speaking_population)

外国の映画やドラマのセリフは聞き取りにくい(速いし理解も大変)

我々非ネイティブからすると、ネイティブとの英会話は、スピードが速く、語彙力も豊富な為、なかなか困難を伴います。

リスニングだけをとっても、ある程度の英語レベルでもアメリカのテレビドラマや映画のセリフはついていくのがやっと、という人が多いと思います。これは基本ネイティブを対象に製作されているので仕方がないのです。

(日本語のテレビドラマを考えればイメージがつくと思います。意識して聞くと難しい表現も多く、日本語非ネイティブからしたらスピードも速く感じるでしょう)

ところで、我々日本人にとって英語ネイティブのドラマや映画で使われるレベルの英語が本当に必要なのでしょうか?答えは明らかだと思います。おそらくネイティブレベルまで必要とする方は少数ではないでしょうか。

もちろん日本語字幕無しに海外ドラマや映画を観れたら楽しいので、そこを一つの目標とするのは良いのですが。

ネイティブは英語でのコミュニケーションが実は苦手?

実は、特に国際ビジネスの世界において、英語ネイティブは、そのネイティブさが理由で、英語でのコミュニケーションに適応できていないという記事も散見されます。

ニューズウィーク日本版2019年1月22日の記事(https://www.newsweekjapan.jp/stories/english/2019/01/post-11551.php)では、ネイティブが自分の英語を変えられない(環境に適応できない)傾向にあり「国際語としての英語が苦手」とリポートされています。

非ネイティブも多い国際チームにおいて、非ネイティブが、意識的にわかりやすい英語と文法、そして連絡ミスの起こらない英会話を心がけるのと比較して、ネイティブがそのレベルに合わせない為にコミュニケーションミスが起こっているという話しは、他でもよく耳にします。

これは決して英語ネイティブがダメと言いたいわけでは決してなく、国際コミュニケーションの英語としては、ネイティブレベルの英会話ではなく、もっと基本的な英会話レベルが重要であるということです。このことがお伝えしたい最重要ポイントです。

日本人はネイティブのフレーズを覚えるよりここに注目

音符とピアノ。英語は音が重要

以上を踏まえて、英語を学ぶ上では、ネイティブレベルにこだわらず、むしろ非ネイティブとしてのコミュニケーションができるレベルを目指しましょう。

・自分の話したことが伝わること
・相手の話していることが理解できること

これが80%でもできればコミュニケーションは十分成立していると言えるでしょう。

発音をまねてリスニング力も上げる

1点ネイティブを目指すとすれば、それは「発音」です。

理由の一つは、例え単語の意味がわかっていても、正しく発音できなければ相手に全く伝わらない(=コミュニケーションにならない)為です。

例えば”McDonald’s”は、「マクドナルド」と発音しても通じません。「マクダーナル」とアクセントも「ダ」の位置に置きます。

聞くと当たり前のようなポイントですが、従来の受験英語がスピーキングより暗記中心の学習スタイルだった為、多くの英語学習者が致命的に意識が弱いポイントなのです。

また発音にこだわるもう一つの理由は、一段高いレベルに発音を上げることができると、英語に対する自信につながるからです。

カタカナ発音や、なんとなく英語っぽい音しか学んでいない方が、恥ずかしくて自信をもって話せないという話は実際良く聞きます。特に日本人に多い弱点だと思いますが、発音にこだわることで簡単に克服することが可能となります。

そして「発音」ができるとリスニング力も向上してきます。これは良く聞く話しですが真実です。

発音をネイティブレベルにする為には

発音の重要性はご理解いただけたと思いますが、実際我々日本人にとって、発音をネイティブレベルに高めるのは容易ではありません。

これは日本語と英語では、言葉を発する時の音の出し方や声の響かせ方が、根本的に異なっているからです。またカタカナ読みで音を覚えてしまっている人にとっては、今までの音を脳から追い出して、英語そのものの音に切り替える必要もあります。

それでも地道に意識して繰り返すことで見違えるように伸ばすことができるのも「発音」の特徴です。

発音向上のコツですが、まずは繰り返し聞いた英語を同じように発音して「音」を近づけることが効果的です。まずはモノマネレベルで構いません。簡単な英文音声をスピーカーに続けて発音し、音を近づけていきましょう。その際は、音の強弱やリズムもネイティブになったかのように意識してみましょう。

特にカタカナ英語が身についている学習者にとっては、聞こえるままを発音するを繰り返すことで、記憶をすり替えていくことが肝心です。

慣れてきたら一つ一つ発音を自分のものにしていきましょう。その際は同じ文章を何度も繰り返し練習して、ネイティブレベルに引き上げていくことがおすすめです。独学の場合は自分の発音をスマホで録音して、ネイティブの発音と聴き比べてくださいね。

そして、モノマネと並行して、発音に関してのテキストを1冊読破しましょう。発音に関する技術的な面を学習することでモノマネのレベルが飛躍的に上がり、ネイティブに近づいていくことでしょう。

少しずつでも綺麗な音が出せるようになると、英語が上達したような気分になれるものです。ぜひ意欲的に取り組んでください。

会話の時の表現をチェック。オンラインやyoutube、アプリも発音トレーニングに活用

発音のトレーニングとしては、著名人のスピーチやプレゼンを真似するのも効果的です。プレゼン動画で有名なTEDや、youtubeで検索すればとても有益な動画がみつかります。TEDはアプリも便利です。

この時、動画をみてトレーニングされるのであれば、是非スピーカーの身振りや手振りもあわせて本人になりきってみましょう。実際、英語の発音にとっては、話すときの姿勢も重要。この点もネイティブに近づけてみましょう。

挨拶や質問のフレーズはそっくり覚えましょう

ネイティブを目指すならとにかく「発音」なのですが、もちろんネイティブが良く使うフレーズの中には、役立つフレーズもいっぱいあります。

難しいフレーズや洒落たフレーズは後回しで大丈夫ですが、英会話に役立つフレーズはそっくりそのまま覚えてしまいましょう。

特に英会話を弾ませるのであれば、挨拶表現や最初の話し出しフレーズ、相手の会話に対する感想の表現等を優先的に覚えていきましょう。また英語での質問の仕方を数パターン自分のものにしておくのも有効ですね。

ポイントは、実際の会話をイメージして意識すること。イメージするのは結構労力のかかる作業ですが、実際の会話をイメージして使える英語表現を身につけていくことで、英会話レベルが数段UPします。

英会話は型まで準備できれば万全

その上で「会話の型」自体を自分なりのもので準備できれば万全です。会話の型は日本語でのコミュニケーションでも有効です。日本語でも話上手な人、逆に会話が苦手な人っていますよね。

①相手の話を聞く
②感じたことや考えを伝える
③質問する

例えばこのような会話の循環を意識しておくことが効果的なのですが、この型に使える英語を事前に意識して学習してみましょう。

上記のトレーニングに至ってはネイティブレベルを目指すことは無関係で、むしろ発想的に真逆といえます。

使えそうな頻出フレーズをただ覚えるだけよりも、実際に使う場面を意識して、しかも会話の組み立てまで考えて学習していくことは、同じ勉強時間でもその効果を数倍にも高めます。

「自分で考える」という意識を持つだけで、記憶の定着も相当UPします。英会話力UPの近道は、英語でのコミュニケーションを意識して学習を進めることにあります。ネイティブレベルを目指すことにはありません。

国際人として本気で活躍するための英語力とは

ネクタイを締める人。英会話で活躍

ここまでみてきましたが、我々日本人にとっては国際公用語である英語がネイティブだなんて羨ましい限りですよね。英語という武器を自然に身につけているからです。もちろん日本語の素晴らしさは違う次元に置いての話ですが。
しかし、先にも述べたとおり英語ネイティブだからといって国際的に活躍できるかどうかは全く別物。むしろ英語ができるより、コミュニケーションが正しくできることが重要なのです。

通訳や翻訳があればビジネスで英語なんて不要?英会話を勉強する意味とは

もちろん最低限の英会話コミュニケーションがないと不自由しますが、ビジネスでも通訳が入れば契約締結等の取引自体は問題なく成立するでしょう。

そういった意味では英会話ができなくても何とかなると言えますが、実際の場面を想像してみてください。事務的なやり取りだけではなく、お互いを理解しあう為のコミュニケーションも重要となります。

またそこから生じる発展を考えると、例えカタコトであっても直接話し合えるほうが圧倒的に広がることでしょう。

英語に限らず語学を身につける最大のメリットは、リアルでの人との対話と関係性の構築につながるからだと思います。

機械的なやり取りだけで目的が達成できるなら良いですが、将来テクノロジーで通訳・翻訳の概念が無くなるほどスムーズに言葉の壁を超えてコミュニケーションができるという日がくるまでは、英語を身につけることは大いに意義があり、無駄になることは全くないと言えるでしょう。

TOEIC含め語学力があれば求人探すも採用も武器になる

最近の就職シーンでは「ただ英語ができるだけでは厳しい・・」といった声を聞いたりもしますが、実際の就職・転職市場において英会話能力は間違いなく武器になります。

TOEICの点数は英語力の証明として使えますし、もちろん実践的な英会話力があれば、大いに機会は広がります。試しに転職サイトで条件検索をしてみれば良くわかるでしょう。

また一歩踏み出せば海外に活躍の場を求めることも可能となります。特に「専門領域×英語力」があれば世界中で活躍できます。

ビジネス以外でも世界は広がる

もちろんビジネスだけではありません。英語が身につけば、海外の方とのコミュニケーションが困りません。

SNSを利用して世界中の人とつながることも容易になった世の中。言葉の壁を乗り越えれば今までの世界を大きく広げるチャンスが目の前に転がっています。それもすぐに広げるチャンスが。

まとめ〜日本人が英会話を話す目的〜

街を見下ろす日本人

本日の記事では、英語学習においてネイティブレベルを目指すべきなのは「発音」のみにして、その他はネイティブレベルは目指さない、ということを中心にお伝えいたしました。

本記事が、英語非ネイティブである私たち日本人にとって、英語学習の目的はどこにあるのか、目指すべき英語レベルはどこにすべきかを考える機会になったら嬉しいです。

日本語と英語は、言語的に距離がある為、お互い学習して身につけるのに対し長い時間を要するとされています。そうであればなおさら完璧な英語を目指すのではなく目標をコミュニケーションに置いた英語学習が上達への近道となることでしょう。

他の記事にも書いていますが、その為には常に「音」を意識して学習することがポイントで、私どものスクールでもとにかく「音」にこだわったトレーニングを積んでもらい短期間で成果をあげております。

スポーツと比較してもらうとわかりやすいですが、英語学習も上達に向けて適切なトレーニングの手順と方法が存在します。適切なトレーニングを順を追って積んでいくことで英会話力は飛躍的に上達することが可能となるのです。

そして、この学習の優先順位において「ネイティブを目指す」ということは、頭の中から外してもらってOKです。本記事が皆の英語学習のアクセントになって英語力の伸びに繋がることを願っています。

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